リベンジ退職の訴訟事例3選|弁護士が解説する敗訴パターンと会社の言い分

リベンジ退職の訴訟事例3選|弁護士が解説する敗訴パターン

「腹いせに会社のデータを消して辞めてやった」

「SNSで会社の悪事を暴露してやった」

リベンジ退職で、このような行動をとってしまうと、どうなるかご存知ですか?

「どうせ辞める会社だ。訴えられるわけがない」

もし、そう考えているなら、それは非常に危険な間違いです。

この記事では、弁護士である私が、リベンジ退職が招く「訴訟」のリアルを徹底解説します。

この記事でわかること
  • 実際にあったリベンジ退職の裁判事例3選
  • なぜ会社は退職したあなたを訴えるのか?
  • 裁判で負ける人に見られる共通の敗訴パターン
  • 訴訟を100%回避し、安全に退職するための具体的な方法

一時の感情で人生を棒に振らないために。この記事を読んで、あなた自身を守るための正しい知識を身につけてください。

目次

リベンジ退職の訴訟は本当に起こる!会社の3つの言い分

リベンジ退職で会社を訴える、なんてことは本当に起こるのでしょうか。

答えは、イエスです。

感情的なリベンジ退職は、実際に損害賠償を請求される裁判に発展するケースが少なくありません。

会社側にも、元従業員を訴えるだけの「言い分」があるのです。

会社の言い分①:見せしめ

会社が訴訟を起こす最大の理由の一つが「見せしめ」です。

「あんな辞め方を許せば、他の社員も真似をするかもしれない」

会社は、組織の秩序を守るために、問題行動には厳しい姿勢で臨むことを見せつけたいのです。

あなた一人への制裁が、他の従業員への強力な牽制になる、と考えています。

会社の言い分②:実害の補填

もちろん、金銭的な理由もあります。

あなたの行動によって、会社が具体的な損害を被った場合ですね。

  • 消されたデータの復旧費用
  • 引き継ぎ不足で失った契約の逸失利益
  • 引き抜かれた顧客の売上減少分

これらの損害を、あなた個人に賠償させるために訴訟を起こします。

会社の言い分③:企業ブランドの防衛

SNSでの誹謗中傷など、会社の評判を貶める行為も訴訟の対象です。

ネット上の悪評は、採用活動や取引に直接的な悪影響を及ぼします。

企業ブランドを守るため、会社は毅然とした対応を取らざるを得ないのです。

会社から「法的措置」を警告されたら、それは脅しではありません。

放置すれば、本当に裁判になる可能性があります。すぐに行動を起こしましょう。

リベンジ退職で法的措置を通告された!【弁護士が解説】警告書・損害賠償の全知識

リベンジ退職の訴訟事例3選【実際の判例を弁護士が解説】

ここからは、リベンジ退職が実際に裁判に発展した事例を3つ紹介します。

どのような行為が、どれほどの損害賠償につながるのか。

リアルな判例を見ていきましょう。

訴訟事例①:顧客データ削除で賠償金400万円

これは、システム開発会社の元従業員が起こした事件です。

事件の概要

退職を決めた従業員が、腹いせに会社のサーバーに保管されていた顧客データや業務データを無断で削除。

会社はデータの復旧や顧客対応に追われ、大きな損害を被りました。

裁判所の判断

裁判所は、元従業員の行為を「悪意による業務妨害」と認定。


データの復旧費用や、データ消失による信用の低下などを総合的に考慮し、元従業員に対して約400万円の損害賠償を命じました。

この判例から学ぶこと

「どうせバックアップがあるだろう」という安易な考えは通用しません。

データ削除は、会社の事業の根幹を揺るがす重大な違法行為です。

一瞬の感情で、一生かかっても返せないほどの借金を背負うリスクがあります。

引き継ぎを無視したり、データを削除したりする行為の危険性は、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。

リベンジ退職で引き継ぎ無視はOK?【退職代行のプロが回答】法的に問題なく辞める方法

訴訟事例②:同僚・顧客の引き抜きで賠償金1000万円超

次に、営業職の社員が競合他社へ転職した際の事例です。

事件の概要

会社のトップ営業マンだったA氏は、同僚数名を引き連れて競合他社へ転職。

さらに、在職中に担当していた主要顧客をごっそり奪っていきました。会社は売上が激減し、存続の危機に陥りました。

裁判所の判断

裁判所は、A氏の行為を「社会的に許容される範囲を逸脱した、極めて悪質な引き抜き行為」と判断。

会社が失った利益などを算定し、A氏個人に対して1000万円を超える高額な損害賠償を命じる判決を下しました。

この判例から学ぶこと

転職や独立自体は自由です。

しかし、元の会社に損害を与える目的で、計画的に人材や顧客を引き抜く行為は「忠実義務違反」「不正競争防止法違反」に問われます。

あなたのキャリアアップが、一転して巨額の賠償責任に変わる危険があるのです。

訴訟事例③:SNSでの誹謗中傷で賠償金80万円

これは、退職後に会社の悪口をSNSに書き込んだ事例です。

事件の概要

元従業員が、退職後に匿名のアカウントを使い、SNSで「あの会社はパワハラが横行している」「社長は不正をしている」といった事実無根の内容を投稿。

投稿は拡散され、会社の評判は大きく傷つきました。

裁判所の判断

会社は発信者情報開示請求を行い、投稿者を特定。

裁判所は、投稿内容が会社の社会的評価を低下させる「名誉毀損」にあたると認定し、元従業員に慰謝料など約80万円の支払いを命じました。

この判例から学ぶこと

「匿名だからバレない」は、もはや通用しません。

ネット上の誹謗中傷は、たとえそれが事実であっても名誉毀損に問われる可能性があります。

正当な告発をしたいのであれば、SNSではなく、弁護士や労働基準監督署など、適切な機関に相談すべきです。

もしパワハラが原因で退職し、会社を訴えたいと考えているなら、感情的な暴露ではなく、法的な手続きを踏むことが重要です。

リベンジ退職【パワハラ】が原因なら|弁護士が教える!慰謝料も請求できる退職代行

リベンジ退職で敗訴する人の3つの共通パターン

私が担当したお客様の中にも、会社から訴えられ、後悔している方がいらっしゃいます。

裁判で負けてしまう人には、いくつかの共通したパターンが見られます。

パターン①:感情的な行動が証拠として残っている

裁判は、何よりも「証拠」がすべてです。

「ふざけるな」「絶対後悔させてやる」
こういった暴言を、会社のメールやチャットで送っていませんか?
それは、あなたの「悪意」を証明する、会社にとって最高の証拠になってしまいますよ。

カッとなって送った一言が、裁判であなたの首を絞めることになるのです。

パターン②:法的リスクの認識が甘い

「これくらいなら大丈夫だろう」

この安易な考えが、敗訴につながります。

先ほどの判例でも見たように、あなたが「ちょっとした仕返し」のつもりで行った行為が、法律上は重大な損害賠償責任を負う可能性があるのです。

「違法になるかどうかわからない…」

そう少しでも感じたら、行動する前に必ず専門家の意見を聞いてください。

リベンジ退職は違法になる?【弁護士Q&A】罪に問われないための唯一の方法とは

パターン③:会社からの警告を無視する

会社から内容証明郵便で「警告書」や「損害賠償請求通知」が届いたにもかかわらず、それを無視・放置してしまうケースです。

これは最悪の対応と言えるでしょう。

ここで、私が担当したお客様の話をさせてください。

Bさん(30代男性)は、上司のパワハラに耐えかねてリベンジ退職を決意。

退職日、腹いせに担当していたプロジェクトの共有データをいくつか削除してしまいました。

数日後、自宅に弁護士事務所から内容証明郵便が届きました。

「損害賠償として500万円を請求します。応じない場合は、刑事告訴も検討します」

Bさんは血の気が引き、パニック状態で私の事務所に駆け込んできました。

「どうしよう、前科者になってしまうのか…」

Bさんのように、警告書が届いてから慌てて相談に来られる方は非常に多いです。

幸い、Bさんはすぐに相談してくれたため、私が代理人として会社側と交渉。訴訟に至る前に、賠償額を大幅に減額した上での和解に持ち込むことができました。

もし、Bさんが警告を無視していたら、間違いなく裁判になり、敗訴していたでしょう。

会社から何らかの法的通知が届いたら、それは最終警告です。

一人で抱え込まず、すぐに弁護士や、法的トラブルに強い退職代行サービスに相談してください。それが、訴訟を回避するための唯一の道です。

リベンジ退職で訴訟を100%回避する3つの方法

では、どうすれば訴訟リスクをゼロにして、安全に会社を辞めることができるのでしょうか。

弁護士の視点から、絶対に守ってほしい3つのポイントをお伝えします。

方法①:退職の意思は書面で明確に伝える

まず基本中の基本ですが、「退職届」を必ず書面で提出してください。

口頭で「辞めます」と伝えただけでは、「引き継ぎが終わるまでは認めない」「聞いていない」などと、退職そのものを妨害されるトラブルに発展しやすいです。

法的には、退職の意思表示から2週間が経過すれば、会社の合意がなくても雇用契約は終了します。

その意思を明確な証拠として残すことが、すべての始まりです。

方法②:最低限の引き継ぎは誠実に行う

腹が立つ気持ちはわかりますが、業務の引き継ぎは誠実に行いましょう。

どこまでやれば「誠実な引き継ぎ」になるんですか?
辞める会社のために、あまり時間は使いたくないのですが…。

完璧を目指す必要はありません。

後任者が最低限、業務を継続できる状態にすることが目安です。

具体的には、担当業務のリスト、関連資料の保管場所、取引先の連絡先などをまとめた簡単な資料を残すだけで十分です。

この「最低限の引き継ぎ」を行ったという事実が、万が一のときにあなたを守る盾になります。

方法③:法的トラブルに強い専門家を味方につける

最も確実で、最も安全な方法。それが専門家を頼ることです。

「会社と直接話したくない」
「損害賠償を請求されそうで怖い」
「すでにトラブルになりかけている」

このような場合は、迷わず弁護士か、弁護士が提携・監修している退職代行サービスを利用してください。

専門家が間に入ることで、会社側も感情的な対応ができなくなります。

法的なルールに則って、冷静かつ事務的に退職手続きを進めることができるのです。

これこそが、訴訟リスクを完全に断ち切り、あなたの未来を守るための最強の対策と言えるでしょう。

リベンジ退職の対策は退職代行が最強!【人事コンサル解説】会社が恐れる3つの交渉術

まとめ|賢い退職は、未来の自分を守るための最善の策

リベンジ退職の訴訟事例と、その回避方法について解説しました。

一時の感情によるリベンジ行為は、百害あって一利なしです。

裁判になれば、時間もお金も、そして精神もすり減らします。

何より、あなたの輝かしいはずのキャリアに、大きな傷がつくことになります。

会社への不満や怒りは、未来へのエネルギーに変えましょう。

最高の仕返しとは、違法な報復ではありません。

法的に身を守りつつ、今の会社よりも良い環境であなたが活躍することです。

もし、退職のことで少しでも不安があるなら、一人で戦わないでください。

専門家を味方につけて、賢く、そして安全な一歩を踏み出しましょう。

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