「モームリで具体的に何が起きたのか?」「今から退職代行を使いたい場合、どこを選べば安心なのか?」
この記事では、「退職代行モームリ」を巡る事件の経緯や判決内容を整理し、法律上問題となった点を解説します。
さらに、退職を考えている方がトラブルを避けるために知っておきたい、退職代行の選び方と相談先を紹介します。
退職代行モームリに何が起きたのか?
モームリを巡る一連の経緯について、裁判の報道や公的発表で確認された事実を時系列で確認します。
2025年10月:警視庁による家宅捜索
2025年10月22日、警視庁保安課は弁護士法違反の疑いで、モームリを運営する「株式会社アルバトロス」(東京都品川区)の本社や提携先の法律事務所などに対し家宅捜索を実施しました。
退職希望者を弁護士に違法にあっせんし、紹介料を受け取っていた疑いが持たれました。
2026年2月:前代表取締役らの逮捕・起訴
2026年2月3日、警視庁は報酬を得る目的で法律事務を弁護士に紹介したとして、アルバトロス前代表取締役の谷本慎二氏および元執行役員の妻を弁護士法違反(非弁提携)の容疑で逮捕しました。
その後、両名は起訴されました。
2026年4月:新体制への移行とサービスの再開
創業者の逮捕・起訴を受け、株式会社アルバトロスは2026年4月1日付で経営体制を刷新し、浜田優花氏(元経理の社員)が代表取締役に就任しました。
法令順守体制の再構築と弁護士監修体制の見直しを行い、同年4月23日より退職代行サービスの新規受付を再開しています。
2026年6月〜10月:裁判での判決
東京地方裁判所において、関係者に対する公判が進められ、以下の判決が言い渡されました。
紹介料を受け取っていた運営会社側の裁判と、紹介を受けていた各弁護士側の裁判は個別に審理されています。
- 2026年6月5日(弁護士法人オーシャン関係): あっせんを受けていた代表弁護士に対し、懲役1年6月・執行猶予3年、法人に罰金150万円の有罪判決。
- 2026年8月28日(株式会社アルバトロス関係): 谷本前代表に懲役2年・執行猶予3年、妻に懲役1年6月・執行猶予3年、法人(株式会社アルバトロス)に罰金200万円の有罪判決。
- 2026年10月7日(弁護士法人みやび関係): あっせんを受けていた代表弁護士に対し、懲役2年・執行猶予3年(求刑・懲役2年)、法人に罰金200万円の有罪判決。
- 2025年10月の家宅捜索:運営会社の発表 株式会社アルバトロスの企業情報・発表一覧
- 2026年6月5日のオーシャン関係の判決:共同通信配信・熊本日日新聞の記事
- 2026年8月28日のアルバトロス関係の判決:ITmedia NEWSの記事
- 2026年10月7日のみやび関係の判決:共同通信配信・熊本日日新聞の記事
どこに問題があったのか?法律上の2つの論点
労働者が退職代行を利用して会社に退職の意思を伝えること自体は違法ではありません。
では、今回の事件では何が法的に問題視されたのでしょうか。
ポイントは「非弁行為」と「非弁提携」という2つの概念にあります。
論点1:弁護士法第72条(非弁行為・非弁活動の禁止)
弁護士法第72条では、弁護士資格を持たない民間企業が、報酬を得る目的で「法律事件に関する法律事務(交渉や請求など)」を取り扱うことを禁じています。
- 適法とされる範囲の例: 本人が決めた退職意思を、使者として会社へ伝達する行為。
- 民間企業型で問題となり得る行為の例: 法律上の紛争に関して、本人に代わって有給休暇の取得や退職日などの条件を交渉する行為、未払い賃金を請求する行為など。
民間企業型が本人の意思を伝える範囲を超えて法律事務を取り扱うと、弁護士法に抵触するおそれがあります。
労働組合型・弁護士型についても、それぞれの法的根拠と対応範囲を確認することが大切です。
論点2:弁護士法第27条(非弁提携・事件あっせんの禁止)
弁護士法第27条は、弁護士が法律で禁止される非弁護士などから事件の紹介を受けたり、非弁護士に自己の名義を利用させたりすることを禁じています。
また、非弁護士が報酬を得る目的で法律事件を有償で周旋する行為については、弁護士法第72条との関係が問題になります。
裁判の審理では、民間企業側が退職希望者計174人を提携弁護士にあっせんし、1人あたり1万6,500円、総額約287万円の紹介料を広告業務委託費などの名目で受け取っていたスキームが「非弁提携」と認定されました。
(※このうち弁護士法人みやび関係では89人分・約146万円の授受が認定されています。また弁護士法人オーシャン関係では85人分・約140万円の授受が認定されています)
利用者への影響について
民法第627条第1項により、正社員や無期雇用のパートなど「雇用の期間の定めがない無期雇用契約」を結んでいる労働者には退職の自由が保障されているため、代行業者の刑事事件があったからといって、労働者本人が行った退職の意思表示の効力そのものが直ちに無効になるわけではありません。
また、弁護士法違反(非弁提携)の事件において処罰の対象となったのはあっせんを行った事業者や提携弁護士であり、サービスを利用して退職の意思を伝えたこと自体をもって、利用者が直ちに刑事責任を問われるわけではありません
(※ただし、個別の利用状況や具体的な行為内容まで一律に法的責任が免責されることを保証するものではありません)。
契約期間の定めがある有期雇用契約では、原則として契約期間の途中で退職するには「やむを得ない事由」が必要です。ただし、一定の要件を満たす契約では、労働基準法第137条により、契約期間の初日から1年を経過した後に退職を申し出られる場合があります。
適用される条件や例外は契約内容によって異なるため、判断に迷う場合は労働局や弁護士などに相談しましょう。
さらに、会社側が「代行業者は非弁行為の疑いがあるため対応しない」と主張して連絡を拒絶した場合、本人が直接対応を求められたり、離職票の発行などの手続きが滞るリスクには注意が必要です。
退職代行を利用する前に確認したい5つのポイント
退職代行を利用してトラブルを避けるためには、依頼前に以下の5点を確認することが大切です。
- 運営主体の区分を確認する: 民間企業、労働組合、弁護士法人のいずれが運営しているかを明確に把握する。
- 会社との交渉が必要か見極める: 有給休暇の消化や退職日の合意調整を希望する場合は、交渉権限を持つ労働組合型または弁護士法人型を選ぶ。
- 料金と追加費用の条件を確認する: 基本料金のほかに追加料金が発生しないか、返金保証の適用条件はどうなっているかを規約で確認する。
- 法的トラブルの有無を整理する: 損害賠償で脅されている場合や未払い賃金の請求を行いたい場合は、弁護士法人に直接相談する。
- やり取りの記録を保存する: 契約書面、規約画面、LINEのやり取り履歴、決済明細は必ず手元に保管しておく。
万が一トラブルになったときの相談窓口
代行業者との間、あるいは会社との間でトラブルが生じた場合は、以下の公的窓口や専門機関に相談してください。
- 消費者ホットライン(局番なしの「188」): 代行業者との契約トラブル、返金トラブルに関する公的相談窓口。
- 総合労働相談コーナー(各労働基準監督署・労働局内): 会社が退職届を受理しない、離職票を発行しないなど、労働問題に関する無料相談窓口。
- 法テラス(日本司法支援センター)または弁護士会: 会社から損害賠償を請求された、内容証明が届いたなど、法的な紛争に関する相談窓口。
状況別:安全に退職を進めるための選択基準とおすすめの相談先
退職代行を安全に利用するためには、「自分の状況に対して適切な権限を持った窓口を選ぶこと」が最も重要です。ご自身の希望に合わせて、以下の選択肢をご検討ください。
| 区分 | 民間企業型 | 労働組合型 | 弁護士法人型 |
|---|---|---|---|
| 主なサービス例 | 一般民間代行 | 退職代行ガーディアン | 弁護士法人ガイア法律事務所 |
| 運営主体・法的根拠 | 使者(本人の意思伝達のみ) | 憲法28条・労組法6条(団体交渉権) | 弁護士法(法律事務の取扱い) |
| 会社との交渉 | 不可(非弁行為の恐れ) | 団体交渉申入れ可能(有給・退職日等) ※合意結果を法的に保証するものではありません | 委任された範囲で代理・交渉に対応 |
| 金銭請求・訴訟 | 不可 | 不可 | 具体的な依頼内容や受任範囲に応じて対応 |
| 料金目安(税込) | 1.5万〜2.5万円 | 19,800円(一律) | 55,000円〜(着手金) ※通知のみプラン25,300円〜 |
| 適した状況 | 会社との交渉を一切必要とせず、本人の退職意思の伝達のみを希望する方 ※会社側が交渉を求めてきた場合や、代行業者への対応を拒否された場合は、民間企業型では対応できないことがあります。 | 有給消化や退職日の合意形成を目指して協議したい方 | 損害賠償請求・給与未払い等の法的紛争・請求を委任したい方 |
① 会社との交渉や有給消化を重視する方へ
【労働組合型】退職代行ガーディアン
- 運営主体: 東京労働経済組合(東京都労働委員会認証の合同労働組合)
- 料金: 19,800円(税込・追加料金なし)
- 特徴: 労働組合法に基づく団体交渉権を持ち、労働組合として会社側と退職条件や有給休暇の消化について協議を進めることができます。
- 注意点: 裁判手続きや損害賠償請求の代理はできません。後払いには非対応です(※有給休暇の消化や退職条件の調整は会社側との協議・合意形成を目指すものであり、結果を100%法的に保証するものではありません)。
- 相談窓口: 退職代行ガーディアン 公式サイトでLINE無料相談
② 損害賠償の脅迫や未払い給与のトラブルがある方へ
【弁護士法人型】弁護士法人ガイア法律事務所
- 運営主体: 弁護士法人ガイア法律事務所(第二東京弁護士会所属)
- 料金: 着手金 55,000円(税込)〜(※退職通知のみプラン25,300円〜、金銭回収時は別途成功報酬等あり)
- 特徴: 弁護士が依頼者の代理人となり、委任された範囲で会社側からの損害賠償請求への対抗や未払い残業代の請求交渉などに対応します。
- 注意点: 民間業者や労働組合に比べて着手金が高額になります。訴訟や金銭請求は具体的な受任範囲に応じて対応となります。
- 相談窓口: 弁護士法人ガイア法律事務所 公式サイトで無料相談する
③ 手元資金に不安があり後払いで相談したい方へ
【後払い特化型】退職代行即ヤメ
- 運営主体: 株式会社即ヤメ(提携労働組合あり)
- 料金: 24,000円(税込)
- 特徴: 審査制の完全後払いに対応しており、退職届受理後に支払いを設定してLINEから相談が可能です。
- 注意点: 事前審査があり、審査結果によっては後払いを利用できない場合があります。裁判等の代理はできません。
- 相談窓口: 退職代行即ヤメ 公式サイトで無料相談する
まとめ:正確な知識を持って安全な退職を選ぼう
退職代行モームリの一連の事件は、民間業者が関与できる業務範囲と非弁提携のリスクを社会的に浮き彫りにしました。
退職代行を利用する際は、「知名度」や「安さ」だけで判断せず、「自分の状況に対して法的な交渉が必要かどうか」を基準に、労働組合型や弁護士法人型などの適切な窓口を選ぶことがトラブル回避の第一歩です。
一人で悩みを抱え込まず、信頼できる専門機関へ相談し、納得のいく形で新しい生活への一歩を踏み出してください。
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