「会社への長年の貢献が、まったく評価されない…」
「このまま飼い殺しにされるくらいなら、すべてを捨ててでも戦うべきか…」
もしあなたが今、会社に対して正当な評価をされていないと感じ、強い不満を抱えているなら、この事件は他人事ではないかもしれません。
徳島県に本社を置く世界的な化学メーカー「日亜化学工業」。
この巨大企業を、たった一人の技術者の退職が根底から揺るがしました。
これは単なる退職トラブルではありません。
日亜化学工業で起きた事件の本質は、「退職したこと」自体が違法とされたのではなく、退職当日に会社の共有サーバー上のデータを自動削除した行為について、民事・刑事上の重大な法的責任が問題となった点にあります。
この記事では、日亜化学工業の事件を判決内容に沿って詳しく解説します。
- 退職理由: 徳島県への転勤可能性に対し「関東圏外での勤務は困難」と考えた自己都合退職
- 問題となった行為: 退職日朝にタスクスケジューラで自作バッチファイル(cleaner.bat)を実行させ、共有サーバー内232フォルダのデータを削除
- 民事裁判の判決: 一審の徳島地裁は5,774,212円の賠償を命令、二審の高松高裁は10,396,632円(約1,040万円)の支払いを命令
- 家族(身元保証人)への責任: 一審では妻と母にも連帯賠償が命じられたが、高松高裁では妻と母に対する会社側の請求が棄却され、元社員本人に対する10,396,632円の賠償が認められました
- あなたの正当な権利を「賢く」主張する方法
この記事を読み終える頃には、日亜化学のリベンジ退職事件のすべてがわかります。
そして、あなたの今の怒りや不満を、未来を切り拓くための力に変える方法が見つかるでしょう。
日亜化学工業の退職理由とは?事件の背景を整理
まず、元社員がどのような経緯で日亜化学工業を退職するに至ったのか、判決で認定された事実関係を整理します。
元社員はなぜ退職を決意したのか
判決文によると、元社員は工学系の大学院で博士課程を修了後、民間企業での勤務を経て、2019年9月に日亜化学工業に入社しました。
配属先は横浜研究所で、レーザー光源の開発や金属加工実験などの業務に従事していました。
退職を検討するきっかけとなったのは、2020年9月に所属部署で行われた説明会でした。
当時勤務していた従業員に対し、将来的に徳島県の本社・工場等に異動となる可能性がある旨の説明がなされた際、元社員は「関東圏外での勤務は難しい」と考え、転職活動を開始しました。
その後、2021年5月に転職先が決定したため、上司に退職の意向を伝え、退職理由を「自己都合(転勤不可)」と記載した退職届を提出。
同年7月31日付で退職することが受理・承認されました(最終出勤日は同年6月30日)。
退職そのものとデータ削除は別の問題
裁判資料において、元社員の退職理由自体は「転勤に応じられないことによる自己都合退職」として正式に受理されています。
法的には、労働者が会社を退職すること自体は原則として自由です。
会社側が損害賠償を求め、刑事事件にまで発展したのは、退職手続きそのものではなく、退職の直前に仕掛けられた「業務データの意図的な削除」という行為に対してでした。
青色LED訴訟とは全く別の事件
「日亜化学工業の裁判」と聞くと、青色LEDの職務発明対価をめぐって元社員(ノーベル物理学賞受賞者の中村修二氏)が会社を訴えた2000年代前半の訴訟を思い浮かべる方もいるかもしれません。
しかし、本記事で取り上げるデータ削除事件は、2021年に発生した全く別の事件です。当事者、争点、年代のすべてが異なりますので混同しないようご注意ください。
日亜化学工業のリベンジ退職で何が起きた?事件の全容と時系列
元社員は退職にあたり、具体的にどのような行動をとったのでしょうか。
判決文で認定された時系列は以下の通りです。
2019年入社から2021年退職までの経緯
元社員は入社後、レーザー加工実験装置の作製やソフトウェア開発を担当していました。2021年5月に退職届を提出した後は、上司の指示を受け、後任者への引継ぎフォルダの準備や担当業務のリスト化などの引継作業を行っていました。
退職日の朝に実行されたバッチファイル(cleaner.batと「バルス」)
問題となった行為は、最終出勤日の前日にあたる2021年6月29日に行われました。
元社員は、自宅パソコンから横浜研究所の共有パソコンにリモート接続し、バッチファイル(複数の処理を自動実行するプログラム)の作成方法を検索しました。
この際、予行用のファイルとして「バルス」(ジ○リ映画で滅びの呪文として知られる言葉)という名称のバッチファイルを試作。
その後、本番用として「cleaner.bat」という名称のファイルを作成しました。
そして、共有パソコンのタスクスケジューラ機能を使い、「自身の退職日である2021年7月31日の午前7時30分」に自動起動するよう設定しました。
共有サーバーから232フォルダのデータが消失
2021年7月31日午前7時30分、設定通りにプログラムが自動起動しました。
その結果、研究所の共有サーバー内に保存されていた合計232個のフォルダ内の実験データ、加工手順書、測定器の稼働用ソフトウェア関連資料などが一括削除されました。
さらに、実行されたプログラム自身も削除され、痕跡を消去する仕組みになっていました。
会社がデータ消失に気づいたのは退職から約2か月後
会社側がデータの消失に気がついたのは、退職から約2か月が経過した2021年9月30日でした。別の従業員がレーザーモジュール開発のために測定器を使おうとした際、必要なファイルが見当たらないことで発覚しました。
会社側は直ちにIT開発部門にデータ復旧を依頼しましたが、共有サーバーのバックアップ体制は「40日間復元可能」という仕様でした。
消失からすでに60日以上が経過していたため、バックアップデータからの復元は不可能となっていました。
真相① 退職そのものではなく「データ削除」が問題になった
法律上の「退職の自由」と会社データを削除する行為の違い
期間の定めのない労働契約においては、民法第627条第1項の規定に基づき、退職の申し入れから一定期間が経過することで労働契約は終了します。
労働者が自身のキャリアや生活環境を理由に退職すること自体は正当な権利行使です。
しかし、業務に従事する過程で作成され、会社の管理下にある共有サーバー等に保存されていたデータは、会社が業務に使用するための資産です。
これを無断で消去・滅失させる行為は、会社に対する不法行為(民法709条)や労働契約上のデータ保存義務違反に該当します。
刑事事件(電子計算機損壊等業務妨害罪)として起訴された事実
本件では、民事訴訟だけでなく刑事事件としても捜査が行われました。
客観的に確認されている事実として、元社員は2025年11月19日に徳島県警により電子計算機損壊等業務妨害容疑で逮捕され、その後捜査を経て、2026年6月19日に横浜地検により電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法第234条の2)で起訴されたことが確認されています。
この罪は、他人のコンピューターや電磁的記録を損壊したり、虚偽の指令を与えたりして業務を妨害した場合に成立する犯罪です。
退職時に会社の業務データを意図的に削除する行為は、民事上の損害賠償請求にとどまらず、刑事事件として立件・起訴される重大な行為となり得ます。
真相② 損害賠償は地裁577万円から高裁1,039万円(約1,040万円)へ増額
会社側の請求額、一審判決、そして控訴審判決で認容額は以下のように推移しました。
日亜化学工業が請求した2,581万円の内訳
日亜化学工業は、元社員およびその身元保証人に対し、連帯して合計2,581万4,785円の損害賠償を求めて徳島地方裁判所に提訴しました。会社側が主張した請求の内訳は以下の通りです。
- ソフトウェア等の再開発・代替品購入費用: 約767万円
- 元社員に支払った給与等の相当額: 18,137,285円(在籍中に支払った給与・賞与・社会保険料会社負担分などの全額返還請求)
徳島地裁が認めた5,774,212円の算定根拠
2025年1月16日、徳島地方裁判所(林憲太朗裁判官)は会社側の請求を一部認め、被告らに対し577万4,212円を支払うよう命じました。
裁判所が認定した損害の内訳は以下の通りです。
- 加工実験装置のデータ再構築人件費: 267万5,055円
(元社員と同等スキルの従業員の年収相当額8,025,166円をもとに、再構築に要する期間を4か月分として算定:8,025,166円÷12×4) - 代替測定器の購入費用: 294万5,250円(税込)
(消失した測定器のソフトウェア再開発には多大な時間を要するため、外部から購入した代替コリメート光計測定器の実費を認容) - 作業手順書等の再作成人件費: 153,907円
(資料作成に集中して従事させた場合に必要な期間を1週間分として算定:8,025,166円÷365×7)
高松高裁で10,396,632円(約1,040万円)に増額された理由
一審判決に対し双方が控訴し、2025年10月31日、高松高等裁判所は一審判決を変更し、元社員に対する賠償額を10,396,632円(約1,040万円)に増額する判決を言い渡しました。
増額の理由は、データの再構築や業務復旧のために会社が追加で購入・調達した物品費用等(約460万円余)が、データ削除と相当因果関係のある実損害として新たに認められたためです。
(一審認容額5,774,212円+追加認容約462万円=10,396,632円)
会社が請求した「給与返還(約1,813万円)」は裁判所で退けられた
特筆すべき点として、会社側が請求していた「在籍中の給与等相当額(18,137,285円)」の返還請求について、裁判所は損害として認めず、返還請求は認められませんでした。
判決では、「元社員は在籍中、会社の指揮命令に従って労務を提供しており、給与はその対価として支払われたものである」と認定。
成果物が後に消失したとしても、労務提供の対価である給与そのものが損害になるわけではないと判断されました。
「会社が求めた2,500万円超がほぼ認められた」という事実はなく、裁判所が認めたのは業務復旧に直接かかった客観的な実損害のみに限定されています。
損害賠償の請求・判決対比表
| 損害項目 | 会社側の請求額 | 第一審(徳島地裁)認容額 | 控訴審(高松高裁)認容額 | 裁判所の判断理由(一次資料) |
|---|---|---|---|---|
| 加工実験装置等のデータ再構築人件費 | 5,000,000円 | 267万5,055円 | 267万5,055円 | 再構築に要する期間(4か月分の人件費相当額)を算定して認容 |
| 平行度測定器の代替品購入費用 | 267万7,500円(税抜) | 294万5,250円(税込) | 294万5,250円 | 消失した測定器の代替品調達実費(税込)を認容 |
| 作業手順書等の再作成人件費 | (給与等に含まれると主張) | 153,907円 | 153,907円 | 作成に専念させた場合の期間(1週間分)の人件費を認容 |
| 追加物品購入費等(控訴審で整理) | (控訴審で追加主張) | 0円(排斥) | 約462万円 | 業務再構築に必要となった追加物品等の実費を高裁で損害認定 |
| 元社員へ支払った給与等の返還請求 | 18,137,285円 | 0円(請求を認めず) | 0円(請求を認めず) | 労務提供の対価であり損害には当たらないとして請求を退けた |
| 合計認容額 | 25,814,785円 | 5,774,212円 | 10,396,632円 | 高松高裁において元社員本人に対し約1,040万円の支払いを命令 |
真相③ 地裁で認められた身元保証人(妻・母)の賠償責任が高裁で棄却された理由
地裁では妻と母にも連帯責任が命じられた経緯
第一審の徳島地方裁判所では、元社員だけでなく、妻(被告B)と母(被告C)に対しても元社員と連帯して5,774,212円を支払うよう命じる判決が下されました。
会社側が身元保証人を共同被告として訴えた根拠は、元社員の入社時に取り交わされていた「身元保証書」でした。
契約書には「勤務中の故意または過失行為により会社が損害を被った場合は、退職後に発覚したときであっても身元保証人が連帯して損害を賠償する」旨が記載されており、保証期間は締結日から5年間と定められていました。
地裁はこの契約の有効性を形式的に認めたため、家族にも連帯責任が命じられる結果となりました。
高松高裁は「妻と母親に対する請求を棄却」し元社員単独の責任とした
しかし、2025年10月31日の高松高等裁判所(控訴審判決)において、この判断は変更されました。
高松高裁は、元社員本人に対する賠償額を10,396,632円へと増額した一方で、日亜化学工業が求めていた「妻および母親に対する損害賠償請求」を全面的に棄却したのです。
高裁が身元保証人への請求を認めなかった理由は、以下の客観的事情に基づいています。
- 会社側の説明不足: 会社側は身元保証人に対して保証意思の直接の確認を行っておらず、極度額の定めがないことや5年の保証期間、保証責任のリスクについて具体的な説明をしていなかったこと
- 情誼による契約の実態: 身元保証契約が、親族としての情誼(情愛や好意)に基づき、責任の重さを十分に検討しないまま形式的な書類として提出されたにすぎなかったこと
- 身元保証法第5条の適用: 会社が事業分野で大きなシェアを持つ企業であることなど一切の事情を考慮し、身元保証法第5条に基づいて身元保証人の賠償責任を免除するのが相当であると判断されたこと
ネット上では「家族まで一生借金を背負わされた」と語られることがありますが、それは第一審時点の古い情報です。
控訴審において、身元保証人であった妻と母の法的責任は明確に否定され、元社員単独の賠償義務に変更されたというのが正確な裁判の結末です。
被告側の主張と裁判所の判断(過失相殺について)
裁判では、元社員側からも会社側の管理体制を指摘する主張がなされましたが、司法はいずれも退けました。
開発環境やライセンス規約に関する被告の主張
元社員側は、ソフトウェア開発において無償の統合開発環境(Anaconda、Visual Studio Community)を使用していたことに関し、「企業の規模によっては商用利用に有償ライセンスが必要であり、作成したソフトウェアを残すことはライセンス違反のリスクがあったため削除した」と主張しました。
また、「会社側が適切な開発環境を用意しなかった過失がある」として過失相殺(賠償額の減額)を求めました。
しかし裁判所は、規約改定の時期や開発の経緯を詳細に認定した上で、「仮にライセンス上の問題があったとしても、上司に無断でデータを削除してよい理由にはならない」として排斥しました。
会社のバックアップ不備を理由とする過失相殺は認められず
元社員側はさらに、「会社が適切なバックアップを取っていれば損害は防げたはずであり、バックアップを怠った会社側にも過失がある」とも主張しました。
しかし裁判所は、会社側が「40日間復元可能なバックアップ体制」を現に維持していたこと、元社員が最終出勤日以降に作動するようプログラムを設定し、フォルダ構造を残したまま中身だけを削除したため発覚が遅れたことなどを指摘。
確定的故意による加害行為であるため、会社側に過失相殺を認めるべき落ち度はない(過失相殺0%)と判断しました。
法律上の境界線|退職・引き継ぎ・データ削除の違い
日亜化学工業の事件を見て「自分も退職するときに訴えられるのではないか」と不安に感じる方も少なくありません。
しかし、法律上の責任が発生する行為と正当な権利行使の間には明確な境界線が存在します。
1. 退職すること自体
退職そのものが損害賠償の原因になることは原則としてありません。民法第627条第1項により、期間の定めのない労働契約であれば、退職の申し入れから2週間が経過することで契約は適法に終了します。
2. 引き継ぎ不足
引き継ぎの状況によっては労働契約上の義務違反が問題となるケースもありますが、通常の退職において引き継ぎが不十分だったという理由だけで、本件のような巨額の損害賠償が認められることは原則ありません。
3. 業務データの意図的削除
会社の共有サーバーやPCに保存された業務データを故意に消去・隠蔽し、業務に支障や実損害を発生させた場合、退職とは別に民事上の不法行為責任(民法709条)が生じ、復旧費用等の賠償義務を負うことになります。
4. 設備への故意の破損・時限プログラム等による妨害
意図的なデータ消去や装置の損壊、自動削除プログラムの仕込みなどは、民事上の賠償責任にとどまらず、電子計算機損壊等業務妨害罪などの刑事事件として立件・起訴される重大な行為となります。
【対比表】やってよいこと vs 法的リスクがあること
| 行為 | 法的な評価の目安 | 基本的な考え方 |
|---|---|---|
| 退職届を提出して退職する | 原則として認められる | 民法等に基づく労働者の正当な権利行使です。 |
| 有給休暇を消化して辞める | 原則として認められる | 労働基準法で認められた労働者の正当な権利です。 |
| 代理人を通じて退職意思を伝える | 原則として認められる | 適法な窓口を通じて意思表示を行うことは可能です。 |
| 後任者のために最低限の業務メモを残す | 推奨される | トラブル防止や円滑な離職につながります。 |
| 私物PC内の私的なデータのみを整理する | 問題になりにくい | 会社の業務データを含まない私物のみであれば通常問題ありません。 |
| 会社の業務データや実験手順書を削除する | 法的責任を問われる可能性大 | 日亜化学事件のように、損害賠償や刑事事件に発展するリスクがあります。 |
| 意図的に引き継ぎを拒否して業務を麻痺させる | 法的責任を問われる可能性あり | 会社に実害が生じた場合、債務不履行責任を追及されるリスクがあります。 |
| 会社の機密データや顧客リストを持ち出す | 法的責任を問われる可能性大 | 不正競争防止法違反などの法的リスクが生じます。 |
| 会社PCを勝手に初期化・パスワード変更する | 法的責任を問われる可能性あり | 業務妨害や器物損壊などに問われるリスクがあります。 |
| SNSや掲示板で会社の悪口や内情を暴露する | 法的責任を問われる可能性あり | 名誉毀損や信用毀損、損害賠償請求の対象となる可能性があります。 |
※実際の法的判断は、雇用契約の内容、就業規則、行為の態様、損害の有無など個別具体的な事情によって異なります。
リベンジ退職で会社と揉めないためにやってはいけない7つのこと
会社に対して強い不満を抱えていたとしても、感情に任せた実力行使に出ると、最終的に大きな不利益を被るリスクがあります。
退職時に避けるべき具体的行為は以下。
- 会社のサーバーやPC内の業務データを削除しない(ゴミ箱を空にする行為も含む)
- 共有フォルダのファイル名や内容を勝手に変更・隠蔽しない
- 顧客リストや開発マニュアルなどを外部に持ち出さない
- 会社の貸与PCやスマートフォンを勝手に初期化しない
- 管理者パスワードを変更したまま教えずに退職しない
- 会社の備品や書類を無断で持ち出したり廃棄したりしない
- チャットツールやメールで感情的な暴言や脅迫めいた文言を残さない
会社から損害賠償を請求されそうなときの対処手順
もし、退職をめぐってすでに会社とトラブルになっていたり、「損害賠償を請求する」「訴訟を起こす」などと警告されている場合は、冷静に対処する必要があります。
証拠の保全と感情的な回答の回避
会社側から損害賠償請求の内容証明郵便や警告書が届いた場合、慌てて破棄したり、感情的に反論の連絡を入れたりしてはいけません。
- 会社から届いた書類やメールはすべて原本を保管する
- 会社側とのやり取り(日時、担当者、発言内容)を客観的に記録する
- 相手の請求にその場で安易に同意したり、念書にサインしたりしない
退職の経緯や具体的な行為によって法的評価は異なるため、会社から損害賠償を請求された場合は、請求内容の法的妥当性を慎重に確認することが重要です。
労働問題・法的トラブルに対応できる弁護士への相談
会社側が弁護士を立てて損害賠償を求めてきた場合や、会社側が高圧的な態度で直接の話し合いが困難な場合は、個人で交渉を続けるのは精神的にも大きな負担となります。
このような法的な対立が懸念されるケースでは、労働問題や損害賠償トラブルに対応できる弁護士に相談し、法的な助言や代理交渉を検討することが確実な自衛策となります。
会社側と直接対面したり連絡を取ったりすることに強いストレスを感じている場合でも、法律の専門家を窓口とすることで、適正な手続きに則って冷静に事態を進めることが可能になります。
- トラブルなく、コスパ良く確実に辞めたいなら
→ 退職代行Jobs - 法的トラブルや金銭請求も視野に入れるなら
→ 弁護士法人ガイア法律事務所 - とにかく費用を抑えたいなら
→ 退職代行ネルサポ
まとめ|日亜化学工業の事例から学ぶ安全な退職のルール
日亜化学工業の退職をめぐる裁判事例から学ぶべき教訓をまとめます。
- 退職そのものは労働者の正当な権利: 転勤不可などの理由で退職すること自体は違法ではなく、損害賠償の対象にもなりません。
- データ削除は重大な法的責任を生む: 退職時に会社の業務データを故意に削除すると、刑事責任(業務妨害罪での起訴)や多額の損害賠償(高裁で10,396,632円の支払い命令)に発展します。
- 給与返還請求は認められない: 会社側が過去の給与返還(約1,813万円)を求めても、裁判所は労務提供の対価であるとして退け、客観的な復旧実損のみを認定しました。
- 高裁で身元保証人(妻・母)の請求は棄却された: 地裁では認められた身元保証人の連帯賠償も、高裁では会社側の説明不足や情誼契約の実態を考慮し、身元保証法第5条に基づき免責されました。
- 最善の防衛は「正当な手続き」: 会社への不満がある場合でも、違法な報復を行うのではなく、法的なルールに従って退職手続きを完了させることが何よりも重要です。
退職手続きや会社との関係で法的トラブルが懸念される場合は、独断で不適切な行動をとる前に、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
